教育経済学者・中室牧子氏が教育において語られてきた一般常識に科学的な根拠(データ)を元に新たな考察しながら、子供の育て方を提言する一冊。
- 科学的な根拠(データ)に基ずく教育方法
- 人生の成功に重要な能力
- 日本の教育に対する考察
子供を持つ親であれば、知っておいて損はない。むしろ、知らなければ損をする内容だと思います。特に個人的に重要だと思った3点をご紹介します。
ご褒美で釣ることはOK?
ご褒美で釣ることに否定的ではなく、ご褒美の与え方で子供の学力を伸ばすことができるとしています。また、子供の頃に学力をしっかり伸ばしておけば、将来の収入が高くなることは数字でも示されているとのことです。
なぜ、ご褒美で釣らなければ勉強しないのか?
皆さんも以下のような先送りを経験したことはないでしょうか。
美味しいラーメン屋さんが出来たから仕事帰りにどう?
1日ぐらい良いか。
行くー。
ダイエット・禁煙などでよくある話で、頭では分かっていても目先の欲求に負けて、食べたり・タバコを吸ってしまう。
子供に比較して自制心が高い(?)大人で先送り行動はしてしまうので、子供はもっと勉強よりもゲーム・アニメなどを優先するでしょう。
逆に、ご褒美により、勉強をすることの利益・満足を高めることにより、勉強を優先するようになるとのことです。
インプットにご褒美を与える
以下の場合、どちらが効果的に子供の学力をあげるでしょうか?
- アウトプット(テスト・通知表でよい点を取ればご褒美
- インプット (読書、出席、宿題をしたらご褒美)
子供の学力が上がったのはインプットに対して、ご褒美が与えられた場合で、インプットはやることが明確です。
一方で、アウトプットの場合は具体的な方法が示されていないため、子どもたち自身がどう行動すれば良いのかわからない。
アウトプットにご褒美を与える場合、成績を上げる手段・方法を教えてくれる人が必要としています。
子どもは褒めて育てるべき?
「ほめ育て」の効果ってどうなの?
結論は褒め方が重要。
ただ、褒めるだけだと害悪となる可能性もあるとのことです。
能力ではなく、努力を褒める
でも、ココとココと・・・、間違えてるね。
次はもっと努力する!
子どもが行った具体的な内容を褒めてあげることで、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦する子どもが育つとのことです。
また、子どものもともと能力(頭の良さ)をほめると、子どもたちは意欲を失い、成績が低下してしまう。能力を褒めることで、子どもの目的が「学習をすること」から「よい成績を得ること」に変わることによるものと示されている。
「自尊心が高い」→「学力が高い」×
「ほめ育て」を行うことで、自尊心(自分に自信をもつ)を高めることでが学力が高くなるという一般的に言われていることに対しても、データから異なる見解を示しています。
- 「自尊心が高い」→「学力が高い」 ×
- 「学力が高い」 →「自尊心が高い」○
また、むやみやたら実力の伴わない、ナルシストを育てることになってしまうとのこと。確かに、「あなたはやればできる子」と言われれ続ければ、成績が悪い場合でも、今はできないだけそのうちできるようになると思ってしまいそうですね。
学力だけではダメ!
子どもの成功にとって非常に重要であることは非認知能力であるという見解を示しています。すぐには結果となって表れないが、将来的に伸びる可能性があるものである。
非認知能力とは
認知能力と非認知能力については、いかに示すようなもので、非認知能力は人間の気質や性格的な特徴を示すものとなっている
- 認知能力 :IQ・学力テスト
- 非認知能力:忍耐力がある・社会性がある・意欲的である・自制心 etc.
重要な非認知能力(2点)
以下のことが明らかになっている能力を紹介しています。
- 学歴・年収・雇用などで人生の成功に長期にわたる因果効果
- 教育やトレーニングによって鍛えて伸ばせる
自制心
うちの子でも本書で紹介されている「マシュマロ実験」をやってみました。
いつでも食べていいけど、お父さん帰って来るまでガマン出来たら、もう1個あげるよ
パク、モグモグ
うちの子にはまだ自制心が養えていないようです。鍛えてあげないと。
食べることを我慢できた子どもは、大学入試の際に受ける共通テストの成績が我慢できずに食べてしまった子どもよりも良い結果となっている。
やり抜く力
本書では「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」と定義されています。これについては、私自身もこのブログを継続して続けていけるのか…。自分も鍛えなければならないなぁ。
まとめ
- ご褒美で釣ることはOK? ⇒ OKです。
- 子どもは褒めて育てるべき? ⇒ 褒め方が重要
- 学力だけではダメ! ⇒ 非認知能力が重要
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